試合結果

2001年7月17日(火)東京・後楽園ホール
THE CRUSADE-2 〜聖戦〜

 

 

 

<第7試合 J-NETWORK初代フライ級王者決定戦/5回戦>

J-NETフライ級1位

J-NETフライ級2位

◯(アクティブJ)津野昌夢

vs

牧裕三(ソーチタラダ)×

判定2-1(48-49、50-48、49-48)
*J-NETWORK初代フライ級王者・津野昌夢誕生!


 このところ、圧倒的な強さで勝ち進んで来た牧と、久々の試合となるが、フライ級屈指の実力者・津野の初代フライ級王座決定戦。奇しくもこの試合の5日後には、津野に唯一の黒星を付けた相手、YUTAKA選手が全日本キックのバンタム級王座に挑み、2度のダウンを奪った後に逆転でKO負け(YUTAKA選手初の黒星となった)したものの好評価を得ている。
 津野はこのYUTAKA選手とデビュー戦で当たったのだが、この試合は両者1度ずつダウンを取り合い僅差の判定で津野が破れたが、かなりレベルの高い試合だった。そんなこともあり、実力的にはやや津野が上かと思われたが、蓋を開けてみると牧のローと、組んでのヒザが有効で、2Rにはヒザでのダメージが蓄積したところに牧が出したティープが津野の腹に入り、思わず「ウッ!」っと声を出すシーンもあった。序盤から中盤にかけては牧の優勢で展開されたが、スタミナ切れからか牧は徐々に失速し始めスピードが鈍る。そこへ津野のパンチが当たりだし、ポイント的に追い上げ始めた。しかし牧もヒジで応戦、津野の顔面は2箇所が切れてドクターチェック。いつ終わってもおかしくないほど津野の怪我は深刻だったが、後半は津野の的確なパンチが牧にヒット。この試合に賭ける執念から最後まで粘り判定に持ち込む。
 集計が終り、最初のジャッジが1ポイント差で牧の勝ちとコールすると、恐らく両者ともこのまま牧の勝ちだと思ったように対照的な表情をする両者。しかし残り2名のジャッジから津野の1ポイント勝ちのコールが上がり、スプリットディシジョンで津野が勝利を収めた。
 この試合はジャッジの見方によって分かれると思っていたが、案の定僅差での津野の勝利となった。恐らくドローとなった場合はエキストララウンドを戦わなくてはならなかっただろうが、津野の怪我の具合からしてもう戦う事は出来なかっただろう。牧にも戦うだけのスタミナは残っていなかったかもしれない。両者完全燃焼した結果が偶然津野の勝ちとなっただけで、両者には全く差が無いと言っても過言ではない程に接戦だった。
 それだけ死力を尽くして勝ち取ったベルトだけに、王者になった津野には今後、他団体との対抗戦などでもJの看板を背負って頑張ってもらいたい。そして、敗れた牧も、もう一度ベルトに挑戦する為に今後はこの試合で足りなかった部分を補うトレーニングを積み、最強の挑戦者となって帰ってきてほしい。


 

 <第8試合 J-NETWORK初代バンタム級王者決定戦/5回戦>

J-NETバンタム級2位

J-NETバンタム級1位

×(アクティブJ)黒田道鷹

vs

浦林幹(JMTC)◯

判定0-3(三者とも、49-50)
*J-NETWORK初代バンタム級王者・浦林 幹誕生!
 


 初代バンタム級の王座決定戦とあって、緊張していると思われたが、両者堂々とした表情での入場シーン。既に以前の両者とは違うのだと感じさせられる。前回の5月の興行で、それぞれが評価に値する素晴らしい試合を展開したのが自信に繋がったのかもしれない。特にその自信が伺えたのが、黒田だった。序盤から5月の興行でKOしたシーンを思い出させるような、強烈なローキックが浦林の太ももを腫らす。そして常に無理せず自分の距離を保ち続け浦林を入らせない。しかし、浦林もまたそのローを受けても表情を変えず、眈々と何かを狙っているかのような目をしていた。
 黒田のヒットアンドアウェーの攻撃が4Rまで続いたが、J-NETの採点基準がダメージポイント重視な為、明確にポイント差を付けるまでには至らない可能性があると思われたが、仮に現在の国際式ボクシングのようにマストポイントシステムでポイントを付けるとしたら、恐らく黒田がポイントを取っていたのではないだろうか。
 そして迎えた5R。ここで浦林の怒涛のヒジ攻撃が決まり始める。浦林が右のヒジを振りまわすのにあわせて黒田も左のヒジを当てに行くが、浦林の前進力には及ばず後退してしまう。そして耳の後ろがザックリ切れて2回のドクターチェック。前半は黒田が攻めているように見えたが、最後は浦林が自分のペースに持ち込み、ゴングを迎える。
 ジャッジの集計は、3者とも50-49で浦林。言うまでもなく、最終ラウンドの浦林のヒジが有効とした判定だ。黒田の攻撃は、ダメージを与えるという点ではポイント差がつくほど有効では無かったという判断である。しかし、この試合は極めてドローに近い浦林の勝利だったと思う。勝利の分かれ目は、最後まで試合を捨てなかった浦林の気持ちと、最後の最後で自分の形を崩してしまった黒田の差だったのかもしれない。
 浦林には初代バンタム級の王者として、今後の活躍にますます期待。このベルトの価値を高めて、またいずれ黒田の挑戦を受けてほしいものだ。


<第9試合 J-NETWORK・掣圏道対抗戦ヘビー級/5回戦>

J-NETヘビー級王者

SWAアルティメットボクシング・ヘビー級12位

×(アクティブJ)長谷川康也

vs

グリラウスカス・ダリウス(リトアニア)

1RKO(36秒、右ヒザ蹴り)
※ダリウスの右ヒザ蹴りが、長谷川の顔面に決まり、KO勝利。


 このところのMAキックとの対抗戦での戦績が評価され、遂にJ-NETヘビー級王者に認定された長谷川が初の国際戦を迎えた。体重では長谷川が上回っていたが、長身のダリウスとの身長差は20cm。試合前に両者が対峙した時には同じ人間とは思えない大きさを感じた。
 試合開始早々、長谷川のローがかするがダリウスは動じない。しかし、その後長谷川が放った右フックにはさすがのダリウスも態勢を崩すシーンが見られた。そしてこれなら対等に戦えると思った矢先! ダリウスの長身から繰り出される右ヒザが長谷川の顔面をもろに捉えた。その瞬間、長谷川は前のめりに倒れ、レフリーがカウント2を数えた時点で危険を察知し試合をストップ。前回の試合では右フック一発で相手を失神させた長谷川だが、今回は秒殺で敗れてしまった。しかしこれがヘビー級。ほんの一瞬の隙で勝敗を分けてしまう恐ろしさがひしひしと伝わってきた。
 次の試合はK-1戦士・鈴木充との対戦が決まっている長谷川。一発で倒せる武器を持っているだけに防御技術をもう少し磨けば、成長の余地は十分にある。次回こそは王者としての初勝利を飾りたいところ。そしてそれが叶えば念願のMA王者内田ノボルとの王者対決も実現するだろう。


 

<第10試合 日・タイ国際戦特別試合/3回戦>
◯(JMTC)蔵満誠 vs ノントウム・パリンヤー・WINDY(タイ)×

判定3-0(三者とも30-27)
※蔵満、パンチとローで攻め込み圧倒。パリンヤーはこれで引退、これからはタレント活動へ。
 


 パリンヤーのラストマッチとして話題的にはメイン以上に各マスコミの注目を集めた一戦。お馴染みの化粧をする仕草のワイクーも健在で、性転換したとはいえ、強さは健在、と思われたのだが…。

 注目の試合が始まると、蔵満の一方的な攻撃が続く。パリンヤーの顔面が蔵満のパンチで徐々に腫れていく。そして、終盤になると蔵満が放つローで何度もリングに転げるパリンヤーの姿があった。少し前までは間違い無く本物のファイターであったパリンヤーだが、やはり女性になってかなりのパワーダウンは否めなかった。唯一、倒されても倒されても最後まで立ち上がり続けたことはファイターとしての意地を感じた。
 この試合は、かなりやりにくい相手だったにも関わらず、非情なまでに攻め続けた蔵満のハートの成長を評価したい。


<メインイベント 日・タイ国際戦フェザー級/5回戦>

J-NETWORKフェザー級王者

IAMTF世界フェザー級王者

△(ソーチタラダ)増田博正

vs

ソンハーン・ナチャイ(タイ)△

ドロー0-1(48-49、49-49、50-50)
※ソンハーン、3Rには右ハイキックからパンチで増田選手をぐらつかせる。
増田、4Rに左ローで攻め込み反撃。5Rは両者とも攻め込んで判定はドローに。


 当初予定されていた、現オムノーイスタジアム王者との対戦こそ流れてしまったが、アマチュアムエタイの王者との対戦となった増田。試合前のソンハーンの印象はヒョロっとした感じのあどけない顔をした選手で、見た目からは強さは感じなかった。
 しかし、入場してリングに立つソンハーンは、前日に見た彼とは別人のようだった。ローキックが効いてしまいそうな下半身に見えたが、裸になると上半身に比べて下半身がしっかりした選手だということがわかる。
 試合が始まると、増田は自分から距離を詰めてパンチとローを出す積極策に出る。ここ数戦、増田はこうして前半から攻めるスタイルがすっかり定着。この日も前半から飛ばし、調子は良さそうに見えた。しかしソンハーンも、ティープでその出鼻をくじく。ソンハーンはミドルはあまり蹴らないが、このティープは、ボクシングだとボディーストレートのような、腹にめり込むような蹴りだ。それでも前に出る増田は、ピンポイントでローを蹴り、そこからパンチと蹴りのコンビネーションで応戦。
 3Rにソンハーンの右ハイキックが増田の顔面を揺らし、そこから怒涛のパンチの連打で増田をコーナーまで追い詰める。まさかのダウンか、はたまたレフリーがスタンディング・ダウンを取るのか、と思った瞬間、増田は左ストレート一発でソンハーンをフッ飛ばす。久々に増田選手の危ないシーンというものに直面したが、1発のパンチで振り出しに戻してしまうところが、増田の強さ華やかさなのかもしれない。
 その後も一進一退の攻防が続く。ソンハーンは増田のパンチにあわせてヒザを当て、危なくなったらティープで逃げる。そして接近したらヒジを出し、明らかに勝ちにきていた。しかし増田も無尽蔵のスタミナで、最後まで自分から攻撃する事を忘れずに、常にプレッシャーをかけながらパンチとロー、ミドルで攻め続ける。
 増田は最後まで攻め続けると共に「観せる」という事を常に忘れない。この日の全試合を通じてそれを実行できたのは増田だけであり、このプロ精神は他の選手もぜひ見習いたいところだ。

 試合の結果はドロー。この試合の結果には、マスコミやファンの意見で賛否両論に分かれているようだが、この試合は決して恥じる試合ものではなく、レベル的にもこの日の試合の中ではずば抜けていた。
 結果的な物だけ見て「アマチュア相手にドロー」とか書かれている雑誌もあるようだが、実際会場で試合を見た方ならわかると思うがソンハーンがいわゆる「アマチュアレベル」の選手であったであろうか? ただ、増田の評価が上がるに連れ周りの評価というものが厳しくなるのも仕方ない事だ。逆に言えば、それだけ増田の評価が高いからだとも言える。

 次回はそんな厳しいマスコミをも唸らせるような増田博正に期待しよう!

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